初年度は個人事務所に就職~司法書士補助者として働くということ~

個人事務所

私は社会人のスタートは司法書士事務所からでした。

司法書士事務所とは何するところ?

司法書士事務所、相続や会社設立などでお世話になっている人も多いのではないでしょうか?

主に法務局(主に地方法務局)に提出する登記書類の作成から提出、相談などを行っています。

簡易裁判所の関わる一定の範囲で訴訟や調停、相談を行えます。

他にもありますが、詳細は以下の通りです。

  1. 登記又は供託手続の代理
  2. (地方)法務局に提出する書類の作成
  3. (地方)法務局長に対する登記、供託の審査請求手続の代理
  4. 裁判所または検察庁に提出する書類の作成、(地方)法務局に対する筆界特定手続書類の作成
  5. 上記1~4に関する相談
  6. 法務大臣の認定を受けた司法書士については簡易裁判所における訴額140万円以下の訴訟、民事調停、仲裁事件、裁判外和解等の代理及びこれらに関する相談
  7. 対象土地の価格が5600万円以下の筆界特定手続の代理及びこれに関する相談
  8. 家庭裁判所から選任される成年後見人、不在者財産管理人、破産管財人などの業務 (以上、司法書士会連合会HPより参照)  

昔とは随分変わりました。

『法務大臣認定司法書士』や『筆界特定手続き』などという制度は、私が就職したときにはなく(近いものはあったと思いますが)、はっきりとした制度として確立したのは最近のようです。

また書類の作成・提出については、今はオンラインによる申請も含まれています。

 

オンライン申請をする場合は法務局や司法書士事務所の電算化や整備だけでなく、クライアント側もネット環境などの整備が必要でしたが、それが当たり前になった今は、オンライン申請の割合も増えてきています。

 

成年後見人については似た制度はありましたが、以前は全く違う名称でした。

名前だけでなく、その対象者など内容的が全く変わりました。

以前の制度は制度名自体、その表現はどうなの~と偏見を煽るようなものでしたので、実際その制度を利用しようと思う人は少なかったようですが、成年後見人制度になってからは、高齢化問題などもありこの関係の業務を得意とする司法書士も増えた

 

140万円以下の簡易裁判所に関する業務については、私が勤めていたところではより繊細で重要な問題であることや、守秘義務や業務自体の難しさもあったからと思いますが、何回か裁判所に書類を届けに行ったほかは、ほぼ私が係わることはありませんでした。

奥様曰く、ほかの事務所がしない仕事をするので大変だと、やめた後にぼやいていました。

最近の士業は、得意分野がはっきりしていますので、登記申請だけでなく、会社関係に強い、相続に強い、高齢者問題に強い、金銭問題(クレジット)に強い、簡易裁判所関係が強いなど、もし司法書士事務所の事務員(下記、司法書士補助者)になったら、その特化した業務に事務員も強くなるかもしれません。

司法書士事務補助者とは

私はといえば、司法書士とは登記関係の仕事であるということ以外、実はあまり知らずの就職でした。

そこで事務のお手伝いをするのだという認識しかありませんでした。

学生時代のアルバイトから始めたのですが、アルバイト最初の日、司法書士補助者の補助者証申請からが仕事の始まりでした。

司法書士事務所の事務員の中で書類の作成や提出の業務(サポート)を行う事務員は司法書士補助者と呼ばれます。

ですので、事務員一人の事務所では当然その事務員が補助者となります。

司法書士補助者として働くときいて、何か特別に難しい専門的なことするのかと、不安半分、期待半分での始まりでした。

なぜ補助者証が必要なの?

司法書士事務所で書類の作成から提出まで行うためには補助者の発行が必須です。

これがなければ

どこの先生の指示で仕事してるの? 誰なの? 本当に書類を扱える事務員なの?

など証明できませんので、指示の元での作成はもとより法務局などで書類の提出一切できません。

ですので、とても大切なことなのです。

補助者証はどこで発行される?

補助者証発行申請は所属の司法書士会に対して申請し、そこから発行されます。

発行に必要なものは、以下のものです。

発行申請書、履歴書、誓約書、補助者使用届、住民票、写真

提出したら、まず間違いなく発行されます。

この補助者証は、免許とかではありません。

これから働く司法書士指示の元、司法書士会に申請手続きをして発行しますので、その事務所限定です。

事務員はその事務所の司法書士の責任において業務をしているという証明書に当たるのです。

ただ、小さな個人事務所ということもあり、私は補助者というよりは事務員という意識が高かった。

クライアントへのお茶出しから事務所の衛生管理(掃除です)、電話応対、郵便物の仕分けなど、補助者としての役割と同じくらいの比率でありました。

 

 

 

事務所事務員が特に注意すること

秘密保持について(守秘義務)

士業は他の職場より秘密保持には厳しいところです。

守秘義務:

一定の職業や職務に従事する者や従事していた者または契約の当事者に対して課せられる、職務上知った秘密を守るべきことや、個人情報を開示しないといった義務のこと(wikipediaより)。

 

守秘義務が、ほかの契約によって義務を負う秘密保持などと違うところは、“一定の職業に関係”している関係者が”法律によって”負っている義務というところです。

当時の社会は随分秘密保持については緩すぎるきらいがあったと思いますが、士業に関しては厳しかったです。

仕事上知りえた情報の保持はどんな仕事でも当たり前のことですが、守秘義務違反は懲戒などの処分の対象になってしまう可能性があるのです。

懲戒処分を受ければ戒告や一定期間の業務停止だけではなく、官報に記載されますので、事務所としては大打撃になります。

その弁明等に士業の先生の労力もそがれます。

私は守秘義務違反で官報や新聞に載った近所の事務所を偶然見たことがありますので、決して守秘義務違反が少ない事案ではないでしょう。

 

事務所関係の仕事は、クライアントや他の事務所関係者とも近く、一つの部屋で全員がいる場合も多いです。

相談や契約などを他の場所や別室で行うことも多いですが、とにかく事務所は物理的なだけでなく距離が近いですので、いろいろな話が聞こえてきました。

仕事の内容も書類の一つ一つをとっても秘密の塊。

その中で内外問わず雑談中に秘密を洩らすなんていうのもあり得る話、気付かず話すだけでなく、聞き出そうとする人もいないとも限りません。

まさに先ほどの近所の事案はそういった流れだったと覚えています。

 

もし何かあったら、迷惑かけるのは、クライアントや事務所の名前、有資格者の先生です。

この守秘義務については、本当に注意してしすぎるということはないです。

司法書士をサポートするということ

事務員、あるいは補助者の一番の目的です。

補助者あるいは事務員は司法書士の業務軽減を目的として、有資格者でなければできないこと以外のサポートをします。

事務所によっては一般的なクライアントからの聞き取りなどアシスタント業務もされているようです。

司法書士補助者は司法書士の業務軽減のためにも絶対になくてはならない存在です。

 

司法書士事務所勤務であったほうがいいスキルなど

免許やスキルは

・自動車免許

事務所は近隣の法務局や役所に申請書を持って梯子することもあり、都心部はともかく地方で事務所勤務をする場合は免許が必要な事務所がほとんどです。

私は自動車免許も持たずに働き始めましたので、仕事をしながら運転教習場に通わせていただきました。

 

・他スキルなど

当時は、大したスキルなどなくても働くことができました。

補助者資格も入所すれば申請して発行されるものでした。

スキルは事務所側が最初から要件に書いていなければ、特になくてもいいと思います。

事務所の場所的、内容的なものによっては、英会話とかあるといいのかも知れません。

勤務してから勉強するもよし、サポート力を上げるもよし、本人次第で経験を積み、スキルも積み上げていけるでしょう。

・スキルや資格以外で重宝される事務員

個人事務所というところは細かい作業の多いところです。

性格的には、やる気があり、コツコツ型、整理整頓が上手い人は重宝されます。

個人事務所ですから、事務所の先生次第ではありますが、人が少ないので大切にされる傾向があると思います。

個人事務所の事務員は、長く働いている人はその事務所の顔になります。

専門的なこともある程度は知識ができますし、今後、こんな流れになりますよ~などのことや話せる範囲になりますが・・・些細なことは**さんに聞け的な、そんな事務員をたくさん見てきました。

個人の事務所は様々 求められるものや働き方も変わってくる

事務所はそれぞれ様々に職場環境、業務環境が違います

勤務先が補助者に求められることも個々で違います。

勤務されるときは、給与や勤務時間の他に福利厚生や保険なども含めて全部聞いておくことをお勧めします。

仕事形態も正社員からアルバイトまで様々です。

今は補助者として働く目的のスクールや派遣会社の応募もあるようですので、臨時雇用や派遣形式でも働ける機会は多いようです。

仕事の内容的には、私は簡易裁判所などの仕事はほんのごく時々、頼まれることはありましたが、重要さが他と違うので関係はしていませんでした。

当然、裁判所関係は詳しく何のための書類申請だったかなどは知る必要もありませんでした。

しかし、事務所によっては補助者に対してそういった分野への知識を持ってほしいという期待で採用している事務所もあります。

補助者がある程度クライアントと事前問診をしたり、簡単な説明をしたりも期待されているでしょう。

 

司法書士補助者として働きながら行政書士資格を取り、司法書士資格も目指している事務員さんなども話に聞きます。

彼らはきっとそういった仕事をされているのではないでしょうか?

余談ですが

最近、ショッピングモールの入り口で司法書士会の相談窓口を見たことがあります。

他の同じような法務に関わる会と合同の窓口が入り口いっぱいに宣伝しておりました。

○○弁護士会・○○司法書士会・○○土地家屋調査士会・・・

司法書士は他の事務所と密に関係しています。

それで合同の出店をしていたのでしょう。

旗の前には簡易な机と椅子、ポスターやリーフレットが置かれ、

家を新築したら~、相続したら~などと書いてありました。

相談窓口というには大っぴらすぎるので、無料相談やってますよ~などの入り口ブースなのでしょう。

相談したいけどできない方~こんなところがあるよ!と、周知してもらうのが目的なのかも知れません。

以前はこんな宣伝は街中ででかでかとしておりませんでした。

当時、弁護士や司法書士などの仕事は宣伝してはいけないと禁止されていると聞いたことがあります。

上司である先生は、倫理違反になると、事務所の前に掲げる看板一つにも気を使っていました。

随分変わったなと思うと同時に、誰にも言えない相談でも今はし易くなったなと感じます。

最近はテレビコマーシャルでも見かけますが、所属会としての宣伝のほうが一応安心ですし・・・

個人事務所に飛び込みで相談に来る人はまずいません。

実際に相談に来る人は、

以前から継続して契約しているクライアント

人からひとへの繋がり

無料相談で相談に来られたクライアント

ネット社会になった今でも完全な飛び込みのクライアントは皆無でしょう。

飛び込みがあるとすれば、ネットでコラムなどを配信しているなど、ある程度そこの先生が全面に出ているとか、有名な先生で口コミを見て決めたとか、いくつかの事務所を訪ね比較検討した上での依頼はあるかも知れません。

今でもきっと窓口が狭いです。

ただ、こんなブースができるほど、それだけ彼ら司法書士のニーズが高まったのでしょう。

司法書士補助者もその分大変な仕事になってきているでしょうが、やりがいを感じられる仕事です。

 

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