サポート事務
私は30年以上の事務歴の内、半数以上をなにがしかのサポート系の事務職として勤務してきました。
事務職の多くがサポートの要素が大きい職種だと思いますが、今回は、特に誰か有資格者や専門職種の方の業務軽減を目的としたサポートをする事務職について簡単に触れていきたいと思います。
まずは最近まで働いていました医療系のサポートから始めていきます。
医療業界のサポート事務
医療業界はここ数年のコロナ禍で混乱の極みを迎えていますが、それ以前から医師不足や診療科や地域差による偏りなど問題が話題になっていたのはご存じのことと思います。
それに加え、電子カルテの普及はまだ発展途上のようですが、医療界は変革の時を迎えています。
電子カルテが普及すれば、病院ごとにあるカルテの一本化も実現して、患者が同じ検査を何度もするような無駄はなくなるかもしれません。
また、医療界は現在チーム医療で患者にかかわるようになってきました。
現在は医師や看護師だけでなくそれを支える事務系のスタッフも以前より仕事内容が様変わりしたり、新しい専門スタッフができたりと変革し続けています。
医療界の各事務員もまたチーム医療の一端を担うようになり、よりプロフェッショナルな業務になってきているようです。
医療事務(メディカルクラーク)
医療機関の窓口で、受付や会計、レセプト(診療報酬明細書)に関する業務をしています。
来院された患者さんから保険証や診察券を預かり、カルテを用意、診療後の会計業務まで行います。
その間、必要ならば問診記入の案内や検査への誘導など、患者さんの接客も含めた仕事をしています。
レセプト業務は、かかった医療費の内、患者負担分を除く分の報酬を各保険者から受取るために重要な業務です。レセプトを作成、チェックし提出までを行っています。
レセプトに間違いがあると報酬が減額されたり受け取れないこともあるため、医療事務では最も重要な仕事になります。
また、診療報酬は2年に1度改変されたり、提出期限の関係で毎月10日前は大変忙しい状態になります。
資格・条件:医療事務系の各種認定試験 なくても特に問題なし
医療事務とひとくくりして呼ばれることがあり、一つの資格のように勘違いをしていたことがありまうすが、実際にその資格があるわけではありません。
医療事務として働いている人が持っている資格などは複数ありますが、参考までに特に代表的な2つの試験について簡単に載せておきます。
診療報酬請求事務能力検定試験(医科と歯科の2種類)
- 関係機関:公益財団法人日本医療保険事務協会
- 厚生労働省が後援する認定試験
- 診療報酬請求業務を行うために必要な能力を認定する試験
- 年2回 7月 12月に行われている
医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)
- 関係機関:一般財団法人 日本医療教育財団
- 受付窓口で重要な患者の”接遇”から、最も重要な”レセプト”関係まで網羅している試験
- この試験の合格者は特にメディカルクラークと名乗ることができる
- 試験は毎月1回行われている
医療事務は資格を持たずに働いている受付さんも多いです。
上記のような難度の高い医療事務系の資格は、医療事務として働きながら試験をとるなどすることで、経験もスキルもあるということで転職時には有利に働くのではないでしょうか。
また、最近は医事オペレーターというスタッフもいるようです。
スキルUPを目指すならば、医療界のIT化に伴い必要とされている医事オペレーター(メディカルオペレーター)としての道もあるわけです。
医師事務作業補助者(ドクタークラーク)
医療事務と混同しそうなものに、医師事務作業補助者があります。
診察室で医師の横に並んでカルテの入力をしている人を見たことがあるのではないでしょうか。
その事務員が医師事務作業補助者です。
診察室の中でも、患者さんと直に接するのは医師と看護師で、基本的に補助者はほぼ直接会話したりはしない業務です。
2000年以降の医師不足や過重労働に対応するために設けられた制度で、医療の世界では割と新しいスタッフです。
医師事務作業補助者は、医師(勤務医)の業務軽減を目的に、医師が行う医療行為以外の医師の事務作業を補助するのが目的で設けられたものです。
業務としては、医師の指示の元、カルテ入力や書類系の代行業務を行います。
診療時にはカルテ入力代行や各種検査や入院などのオーダー、処方箋代行を、その他の時間に診断書をはじめとする医療文書の作成を代行しています。
他にもデータの集計や管理、行政への報告などを行っています。
あくまで医師の指示の元で業務代行などを行うのであって、看護師を間に挟んでの指示などはありますが、医師以外の指示による業務は”禁止”されています。
また、禁止業務がはっきり決められており、行ったとしてもコスト(費用)請求はできません。
ドクタークラークの配置は診療費の加算基準になっており、どこにどれだけ配置されているか、要件を満たさないと施設基準が下げられることに繋がっています。
資格・条件:特になし ただし、32時間基礎知識習得研修を受けるのが要件
研修については、就業中の医療機関で行われる研修で資格取得可能です。
32時間研修については、各医療機関での研修だけでなく、専門の研修機関の研修もあります。
一度研修を受ければ補助者としての要件は満たしているため、他の医療機関への補助者としての転職は可能です。
関係する試験
医師事務作業補助者技能認定試験
- 共催:病院団体・公益社団法人全日本病院協会/一般財団法人日本医療教育財団
- 年6回(5月、7月、9月、11月、1月、3月)
医師事務作業補助者実務能力認定試験
- 主催:日本福祉情報実務能力協会
- 2022年度の開催は3回(2022年6月、10月、2023年3月)
その他、関係する民間の試験は複数あります。
医師事務作業補助者については32時間研修を受ければ就業可能ですので、スキルUPのためこれらの試験を挑戦するのもいいのではないでしょうか。
また、試験とは別にスキルupのための大会があります。
全国大会やその他の大会もあり、病院側からも参加を勧められたりもします。
大会では、他のクラークさんの話を聞く場や交流の時間が設けられています。
講演の内容もクラークに関するものから病院で働く上で必要な内容まで様々で、なかなか興味深いです。スキルupしたい方はやりがいを感じるのではないでしょうか
ニチイ(日医)学館
参考までに、医療系の仕事について派遣で働きたいという人はニチイに登録するのがいいのではないでしょうか。
医療事務や医師事務作業補助者だけでなく、その他の業務についても学習システムが充実しています。
ニチイは就業前に必ず研修があり、スキルUPすると条件面もUPしていくようです。
サポート体制も充実しており、資格修得から就職、スキルUPまで安心して学んでいけるシステムを持っています。
資格学習から就業、その後も診療報酬やその他の見直しなどが行われるため相談なども対応、スキルUPもできるということで、ニチイで学ぶのは就業したい人には最短コースかもしれません。
ニチイは(一財)日本医療教育財団として独自の認定試験を開催しています。
その試験は外部受験者が多く参加しています。
医療事務については前述の”医療事務技能審査試験” や ”医事オペレーター技能認定試験”があり、
医師事務作業補助者については”医師事務作業補助技能認定試験”があります。
ニチイが主催する資格試験は下記ホームページを参考にしてください。
(一財)日本医療教育財団のホームページ
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