アナログ時代の事務はいつも書類の山!~そして今はどうなった? 

事務

アナログ時代の事務

クライアントとは長い付き合い

私の最初の就職先、司法書士事務所について、もう少しお話してみようと思います。

前にも書きましたが、司法書士事務所の仕事の主は、書類の作成から提出までです。

司法書士は主に法務局(主に地方法務局)に提出する登記書類の作成から提出、相談などを行っています。

クライアントとの継続的な相談等も行っており、一度かかわったクライアントとは長い付き合いになることが殆どでした。

一度会社の設立に関わると、その会社の改変時などの登記から、個人としての相続や家の購入に至るまで、登記の必要とされる様々なことに継続して相談されます。

継続的なクライアントには、登記時期には時々事務所から連絡を入れることもしばしばでした。

何せ忘れているので、お手紙で ”~時期ですよ~” の連絡しないといけなかった。

何か登記以外の相談が必要ならば、他の士業の先生を紹介し、その逆も然り。

そういった場合はその仲間の先生方と共同で仕事を進めていきます。

書類の山

司法書士補助者は司法書士の先生からの指示で書類を作成、チェックを受けた後、法務局へ提出までを進めていきます。

当然、30年以上も前の話ですから資料は全部紙媒体に、連絡は電話かお手紙。

事務所には個々にファイリングされ、名簿順に並んだ資料が棚の中にずら~っと並んでいました。

PCでの入力については簡単なもので、すでに基本のフォーマットがありますので、そこに埋め込んでいくのみですので、入力さえできれば簡単なものでした。

苦労したのは添付資料をそろえるなどで、提出物(特に相続関係)によっては半端でない厚みの提出物になる訳です。

押印や訂正印の確認なども、案外抜けていたりして細かいチェックが必要でした。

また、提出物については、クライアントの希望などから暦にこだわる人も多く、その日に提出できるように間に合わせなければいけません。

大安や先勝の日などは大忙しでした。

当時、登記関係の仕事に必要なものは和文タイプライターPC和紙・・・そしてくどいようですが司法書士補助者証(これは今回ほっておきます)

PC 

当時のものはPCと略していうよりはパーソナルコンピューターと言った方がしっくりくる代物です。

とにかくデカくて重量感満載でした。

今のように軽量小型のPCでなく、当然ノートPCなどというものもなく、事務机の真ん中に威圧感満載で堂々と占拠していました。

本体とブラウン管モニター、キーボードは別にあった? 一体型だった? もう覚えていません。

今の一体型がどうしても一体型に見えない私です。

記録媒体はというとすぐに壊れそうな大きくてペラペラな8インチフロッピーディスク 時々読み込めなくなる~なんてこともあったのを記憶しています。

今思えば・・・びくびくしながら扱っていました。

当時の私はタイピングの経験はあるもののワープロ経験のみ、しかも富士通の親指シフト! 

職場は当然JIS規格ですね。

JIS配列を覚えるのに時間はかかりませんでしたが、時々親指シフトで打とうとする。

PC作業がフォーマット入力のみでほんとによかった。

和文タイプライター

とにかく大きさが半端ない! 幅もとる ごつい!

今では多分使っているところはあるのでしょうか?

和文ですのでイメージできる人はいるでしょうが、でも実際見てみたらその大きさにびっくりするのではないでしょうか。

とにかく文字盤が多いこと多いこと

数字からカタカナ、漢字の文字盤がずら~っと並んでいます。

普段使いのキーだけでも相当な数、普段使いでないキーや交換用の文字盤は机の中に保管。

(ちなみに内文字盤や旧字体は手で書き加えいていました。)

和文タイプ 打ち方はタイピングというよりは何かの工具を扱っている感じでしたが、カッタカッタと素早く打てるようになるまでにそんなに時間はかからなかった。

それだけ常に使うことが多かったものでした。

和文タイプ余談

和文タイプライターというのは何度も言うようですが非常ににごつい、でかい。

そのごつい代物は困ったことに文字盤がほんとによく折れた・・・

そして、タイプライターの特性もありますが、できた文書が穴だらけでした。

司法書士事務所は法務局への書類の他に官公庁(主に市役所)に持っていくことも多かったです。

法務局担当者はタイピングの書類に慣れたものですが、官公庁はタイプ打ちで穴だらけになった書類に難しい顔、穴だらけの書類に”NO”を突き付けられることがたまにありました。

役所の担当者/紙を目線に合わせて、その穴からこちらを見て、「ほら見えるでしょ、やり直し!」

ひどいと思いませんか?

和文タイプ、よく折れるんで、いつも真新しいキーを使っています。数字の”0”なんて特に!

新たな和文タイプ

私が事務所に入所した頃はアナログからデジタルに変わる直前、法務局も電算化に伴って、登記印紙代が一気に倍にまでなった頃、事務所はタイプライター2台目を新たに購入。

決して安いものではなかったでしょうに時代は徐々にデジタル時代になり、かつて華々しく登場し活躍した媒体は、今では・・・

もしかして、日本のどこかの個人事務所の片隅に今も眠っているかも知れません

登記書類には和紙

登記をするのに必要不可欠だったのは和紙も一緒です。

和紙はその特性上、丈夫で長持ちするということで未来に渡って長期間の保管を前提としている書類には最適だったから登記の書類に使われたのでしょうか?

さすがにもう使われていないかと思いきや、登記用和紙として売っていました。

 

実際、本当に使われているかは実物を見ていないので、実際に現役かは言えませんが、今のPCにも対応している和紙のようです。

でも、現実には使われていないかも知れません。

今は法務局も電算化されており、提出物もオンライン申請が可能です。

調べてみたところ、平成3年オンラインでの申請は不動産(7,115,131件)、商業・法人(782,449)共に半数を優に超える数でした。

コロナの時代はより多くの場面でオンラインシステムが当たり前になってきている今、紙媒体の申請は減っていくでしょうから、登記の場で和紙の活躍場面は少なくなっていくのでしょう。

和紙余談

法務局への提出物はかなり大量です。

当時、それを括っていたのが和紙をこよっってつくったこよりでした。

丈夫であることと、そして逆にすぐに切ることができることが主な理由だったと思います。

確かにしっかりこよれば、大量の書類の紐をひっかけてぶらぶらさせることくらいできる丈夫さです。

その威力たるやすごいものでした。

こよりは、さすがにもう使ってないよね~と思わないでもない。

オンラインの時代になってどうなった?

現在のオンラインは大きな変化をもたらしているようで、実はとても興味あります。

当時、法務局が電算化を始めた最初に補助者として働き始めた私は、急に登記印紙代が上がって、逆に法務局の作業効率が下がっているんじゃないの?という現場に居合わせました(申請から登記簿に載るまで非常に待たされました)。

 

その電算化から現在のオンラインになるまでにも、またいろいろな苦労があったと、その過程はきっととても大変だったと想像できます。

大量の紙の書類の修復、整理から始まって、その書類をスキャンしたのでしょうか?

 

紙媒体の書類は保管も大変、何かあった時のために他の地域に予備も保管してあったのだろうと思うと、その保管の場所代はいくらかかっていたのかななど想像すると怖いですね。

先日、法務局で久しぶりに謄本を申請したのですが、意外と登記印紙代抑えられていたので、今は手続き自体が非常にスムースになったのかも知れません。

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