最近はめっきり郵送で手紙のやり取りをすることがなくなってしまいました。
ほとんどがメールで事足りるのでまず郵便でのやり取りをする事態はめったにありません。
メールの方が早く確実に相手に伝わりますし、電算化が進んだ現在、郵便を使うほうが逆に不便です。
でも、どうしても郵便を使わざるを得ない状況はありますよね。
なにがしかの行事の案内など今も郵便でやり取りするのではないでしょうか?
メールで済ませるところもなきにしもあらずですが、後日正式なものを送るなどはしていますよね。
また、仕事上お借りしていた資料など返すときも郵便を使うかもしれません。
めったに使わない郵送でのマナー、事務員だからこそ知っておかなくてはならないことの一つです。
郵便書類の約束事
宛名の書き方、御中と様の使い分け
郵便で送るというと中身だけでなく宛名の書き方に悩む人は多いのではないでしょうか?
事業所などは”御中”、人に対しては”様”
そんなことは知っています!という方がほとんどでしょう。
”御中”と”様” 使い分けに悩みます。
仕事で出す文書は、最低でも事業所と担当者などの個人名を書く必要あります。
事業所が大きければ部署も宛名に含まれます。
実際に宛名を出す段になって御中と様の併記をしてしまうことがあるのではないでしょうか?
御中と様の併記はやっていいものなのでしょうか?
結果から言いますと、”御中”と”様”の併記はしません。
たとえば、相手先の営業の担当者あてに送る時は下記ように書くのが正式ですね。
『〇〇株式会社 営業3課 □□様』
でも御中を抜くことで失礼にならないか、最初の頃は書きたくなる衝動にかられたことが一度ならずありました。
『〇〇株式会社 営業3課 □□様 御中』
このように書いて送っても多分大した問題になりませんが、事務員ならば書かない方が賢明でしょう。
では”御中”で済ませる場合と、担当者など相手のいる”様”、どういう使い分けがになるのでしょう。
答えは簡単です。
どこの誰に送るかです。
担当がいるけれど基本事業所に送ればいい場合は”御中”
特定の人に届けたい場合は”様”ということです。
担当者に届いてほしいけど最近移動で交代した場合など、誰に送ればいいかわからない場合は『ご担当者様』とします。
ほとんどの場合、”様”を使うことが多くなるのは自然な流れでしょう。
敬称を宛名に書く場合
上記の御中や様とも関係していますが、敬称を含めた宛名を書く場合には注意が必要です。
役職はそれ自体敬称になります。
ですので、言葉で伝える時は役職に様は付けません。
宛名で書く場合も同じです。
ただ、宛名の場合は相手には様を使いたいものです。
ですので、宛名に敬称を付ける場合、
『代表取締役社長□□□□様』としましょう。
『□□□□代表取締役社長様』 と書くのは失礼にあたることを覚えておきましょう。
返信用封筒の場合
今は返信用封筒、あまり使うことはなくなりました。
ほとんどメールで済んでしまいますので当然のなりいきですが・・・
ですので、返信用封筒を出すときの注意点などは今はあってないようなものです。
ただ、事務員として知識は持っておくといいでしょう。
”行” ➡ ”御中” or ”様” とする。
送られてくるときは、宛名には”行”となっています。
その”行”を二重線で消し、相手が事業所ならば”御中”、人ならば”様”に書き換えます。
”御”参加 or ”御”欠席
何かの催し物への参加を促す返信用封筒の場合、”御”参加 or ”御”欠席となっています。
出席であれ欠席であれ、この”御”を二重線で消し、
参加の時は 参加させていただきます。
欠席の時は 欠席 の後に、相手への労いや所用ある旨を記載しておくといいでしょう。
もし、返信用封筒に担当者名がシャチハタしてあった場合、相手方へは様を使わず御中で大丈夫です。
シャチハタの担当印は相手先の誰に届くかわかるようにしてあるだけで、御中で大丈夫です。
気付について
”気付”とは何? ”様方”との違いは?
宛名には”気付”という書き方をするときがあります。
ただ、長い事務経験の中で私は一度もこの気付に出会ったことがないくらい今では珍しいものです。
”気付”は郵便を送る時に使いますが、実際どういうときに使うものなのでしょう?
意識して使ったことがないため、少し調べてみました。
他社の事業所に間借りをしている場合
- 親会社の事業所所在地に間借りしている子会社の住所
- 場所を他社とシェアしている中の一つの事業所
普段相手が所在している場所でなく、立ち寄り先などに送る場合
- 出向先に立ち寄っている
- 結婚式場や葬儀場に行っている
- ホテルに滞在中、病院などに入院中
このような時に、”気付”を使います。
宛名を書く時は”気付”までが住所ですので、御中や様は普通に使えます。
様方とは
”気付”と間違いやすいものに”様方”があります。
”様方”は”気付”よりよく使いますよね。
違いは事業所に対して、あるいは事業所で働いている専従者も含めた人に対して出すか、個人宛に出すかの違いでしょう。
”必着”と”親展” どう違う?
郵便を出す前に、”必着”や”親展”の押印をすることはありませんか?
どちらも担当者に特に見てもらいたいものというのはわかりますが、厳密な違いは何でしょう。
必着と親展の違いは意味の強さと拘束力
必着の拘束力は親展よりはずっと少ないものです。
渡すときに開けてしまったことを謝った方がいいのは確かですが・・・郵便を届けた先でほかの人が封書を開けてしまっても、あまり大ごとにはなりません。
”親展”はそうはいきません。
郵便の配達員が本人に「”親展”郵便です、本人に確かに渡しましたよ」と言うわけではありませんが、郵便を受け取った人が必ず本人に渡し、本人によって開封される必要があるのが親展です。
また、この”親展”郵便を不用意に開けてしまったら、罪に問われるかもしれません。
『親書開封罪』
封筒にただ”親展”としてあるだけなのですが、もし職場で受け取るようなことがあったら要注意ですので覚えておいてください。
よく職場に親展で送られてくるものに、職場で加入した保険などの個人情報の書類が親展で送られてきていました。
確かに他人に開けられたらと思うと、そのくらいの拘束力があっても当たり前のような気がします。
余談:日本郵便『本人限定受取りサービス』
”親展”はあくまで普通郵便です。
ただその2文字はとても重い意味を持っている郵便なのですが・・・
送る時に親展では心配だわと思うほどの重要書類があったら、郵便局のサービスとして『本人限定受取りサービス』があります。
でも普段はつかわないなあと思うような高額郵便で、受け取り時に身分証明も必要なようです。
多分、その身分証明提示が必要なことにも意味があるのでしょうか?
今後、争いの種になるようなやり取りとか金銭が絡むとか、そういったものに使われるのかもしれません。
このサービスは当然ですが加算料金がかかり、なおかつ受け取り時に身分証明書が必要ということですので、よほどの重要書類でない限りは使うことはないと思いますが、郵便代金も随分お高いものになります。
書留より高額で、通常の職場であれば内容証明郵便より使う頻度はないものと思われます。
頭の片隅にでも一つの知識として置いておくと面白いかも知れません。
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